2025/05/10

【宣伝】札幌市民芸術祭「マンドリン音楽祭」のおしらせ♪

 


札幌では、毎年5月にマンドリン音楽祭があります。

今年はわたしは出ませんが…宣伝しま~す!

ちなみに、2023年2024年は出ました!


令和7年度札幌市民芸術祭「マンドリン音楽祭」

2025年5月25日(日)12:45開場/13:30開演

札幌市教育文化会館大ホール

(札幌市中央区北1条西13丁目)

入場料 無料


開場後、13時から「プレ・コンサート」があります。

楽器体験コーナーもあります。開演前および第1部のあとの休憩のときに、ホワイエで楽器にさわることができますよ。

少人数の演奏も、大人数の合奏も聴けます。学生さんもがんばっています。


5月の札幌は、マンドリンの音色がよく似合います。

ぜひ聴きに来てくださいね。

わたしも(演奏はしませんが)会場におります。

2025/05/04

サイレント映画の伴奏曲集♪明清楽から復興節!?「沙窓」(紗窓)

サイレント映画の伴奏曲集、しかも“ヴァイオリン・マンドリン楽譜”が、昭和初期に市販されていたんですよ~。

マンドリン用の楽譜ですって!?それは弾かねば!

というわけで、今回弾いたのは…

「現代映畫伴奏曲集 前編」(7)沙窓/mandolin


使用した楽譜はこちら!

映畫音樂研究會編 NO.3
「シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 樂譜 現代映畫伴奏曲集 前編」


《奥付》
昭和二年五月一日印刷
昭和二年五月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番


1ページ「映畫伴奏振附解說」では
「支那劇或は日本映畫中の支那街等の場面に用ひらる。」とあります。


それにしても、この曲は「Sam Fox Moving Picture Music 」や「Schirmer's Photoplay Series」のようなアメリカの映画伴奏曲集には入っていません。
日本の曲?あるいは日本で流行った曲なのかな?
と思って調べたら…

もともとは明清楽「紗窓」

わたしの弾いた楽譜やSPレコードでは「沙窓」と書いてありますが、もともとは「紗窓」と書いて「さそう」と読むそうです。
明清楽(みんしんがく)といって、中国が「明」、あるいは「清」の時代に日本に伝わった音楽を、月琴や唐琵琶、笛などの楽器を弾きながら歌うんですって。
月琴いいなー、ひいてみたい。

「紗窓」の曲や歌詞について、明治大学教授の加藤徹さんが「加藤徹のホームページ」内の「紗窓(明清楽資料庫)」で、明清楽から長崎民謡、復興節まで資料を集め、とても詳しく紹介していますよ!

明清楽で歌う漢詩[HD] karaoke 「露月」「紗窓」
上記の、加藤徹先生が公開している動画です。
歌詞は李白の七言絶句だって。うわー、漢文でお目にかかったあの李白ですか!!
読み方も出てくるので、みなさんご一緒に歌いましょう。さん、はい!

長崎の明清楽 第41回長崎郷土芸能大会 長崎市民会館体育館 20161002 150102
なんと!現代も演奏されている明清楽。2016年の演奏です。
しかも14分0秒から「紗窓」が入るよ!優雅な演奏です。

長崎県長崎市のサイトで紹介されていますが、「長崎明清楽」は県指定無形文化財になっているんだって。うお~すごいな!!「紗窓」は、原語で歌っているそうですよ。

日本語の歌詞もある!

【清楽月琴生演奏】 紗窓(長崎民歌版)
「春は三月 風頭 金比羅山参りの賑やかさ…」という、日本語の歌詞がついた歌です。

SPレコードみつけた!


【清楽演奏】 01 沙窓 【SP盤】
鳩印のトーアレコード。「東亞音樂團」による演奏です。
「78MUSIC」というサイトによると、1920~1923年に発売されたレコードのようです。
なんかすごい!ズンズンズンズンズンズンゴーン!!
日本のSPレコードについて詳しいサイト「78MUSIC」に明治・大正期のレコードの目録のページがあり、このレコードについても名前が載っています。


支那音曲玉手箱 沙窓、黄河の蓮 第1 西條管弦楽団
ポリドールレコードから出ている、管弦楽団による演奏です。
メロディは、わたしの弾いた楽譜によく似ています。
それにしても、ずいぶん威勢の良いこと。

こちらは「復興節」!

大正12年、関東大震災の後に、演歌師 添田さつきが作った「復興節」。
「家(うち)は焼けても江戸つ子の 意気は消えない 見ておくれ」で始まる「帝都復興エーゾエーゾ」の歌。「紗窓」のメロディをもとにしているけれど、軽快な曲調です。
これを聞いて、元気づけられた人も多かったことでしょうね。

復興節(鳥取春陽)80rpm
オリエントレコード。ゆったりした演奏です。
街頭演歌師、鳥取春陽の最初のレコードだそうですよ。

復興節-上-(斎藤一聲)80rpm
復興節-下-(鳥取春陽)80rpm
同じレコードのA面とB面です。こちらはヒコーキレコード。
A面とB面で違う人の名前がありますが、同じ人が演奏して、二人で歌っているように聞こえますね。


# 復興節
こちらはSOUL FLOWER MONONOKE SUMMIT(ソウル・フラワー・モノノケサミット)による演奏!1995年阪神・淡路大震災の後に歌うようになったそうです。
後半で「うちは焼けても神戸っ子の…」と歌っていますね。


なるほど、江戸時代後期に清国から入ってきた歌が、日本で楽器をともなって演奏され、日本語の歌詞がついたりマーチ風に演奏されたり、はたまた震災復興の替え歌になったりして、愛唱されているんですね。
なぜこの曲が「現代映畫伴奏曲集 前編」に入ったか、わかったわ~。それだけ日本で流行したということなんですね。
そして流行は過ぎても、今も日本で大切に歌われている歌だということがわかりました。
現代の中国では、歌われているのかな?どうでしょう。そのへんももう少し知りたいです。
曲にまつわるあれこれを知ったので、わたしの演奏動画では、復興節ふう(あるいはSPレコードのマーチ風)と明清楽ふうの2パターンで弾いてみました。聴いてみてね。

2025/05/01

サイレント映画の伴奏曲集♪イースターにちなんで「エイスターモーン」

昭和初期に市販されていた、マンドリン用の楽譜を弾いてみたシリーズ!

今回弾いたのは、ザメクニックさんの「エイスターモーン」。

むむ、「イースターモーン」じゃないの!?

2025年のイースター(復活祭)は、4月20日だそうですよ。イースターにちなんで、4月20日に動画を公開しました。

忙しい時期でしたが、たまたま札幌で午前中空いたので、スタジオを借りてマンドリンの練習をしました。

普段はスマホで撮るだけですが、このときはタブレットで撮影して、録音機で録った音源を編集で合わせました。そのため、ずいぶん響きが良く聞こえます。


およそ100年前のマンドリン楽譜!

使った楽譜は、こちらです。1927年(昭和2年)発行の市販楽譜です。
当時の映画は、まだサイレント(無声映画)だったんですよね。
だから映画の説明も音楽もその場で行う、いわばライブですよ!
同じ映画でも、弁士や楽士によって、使う曲も雰囲気も変わったことでしょうね。

《表紙》
シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 楽譜
SINFONIE VIOLIN OR MANDOLIN SOLOS
現代映畫伴奏曲集 後編
映畫音樂研究會編 NO.4


裏表紙《奥付》
昭和二年七月一日印刷
昭和二年七月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番

《楽譜》
(3)Easter Morn
  エイスターモーン
   (ZAMECNIK)     悲劇、哀傷的場面

作曲者は、この時代にサイレント映画で大活躍したジョン・ステパン・ザメクニック John Stepan Zamecnik(1872-1953)。数多くの映画伴奏曲を作曲したり編曲したりしていました。

なんかね、わたし、この時代の楽譜を弾くようになって、ザメクニックさんは自分の中で超有名人になっていますよ。いけこも歩けばザメクニックに当たる。

ところがね…意外にも、もとの楽譜が見当たりませんでした。

「イースターの朝には 白百合を生けましょう」という歌詞の聖歌もありますが、それとは違う曲でした。

SPレコードやオルゴールの演奏音源も見つかりません。


ナイジェリアで演奏!

ところがね、遠くナイジェリアで演奏されているのを発見しましたよ!!

ナイジェリアにある、アポストリック・フェイス教会オグン中央本部のYouTubeチャンネルから。いずれも、イースターコンサートのライブ配信です。

2022年、2023年、2024年のイースターコンサートで、「Easter MornーOrchestra」を演奏しています。

これらの演奏を聴いてみると、この曲は、最初と最後が活気のあるマーチ風なんですね。中間部に、わたしの弾いたメロディがあります。

2022 Easter Concert 17-04-2022. Apostolic Faith Church Ogun Region
2022年のコンサート。1時間21分24秒あたりで、「Easter Morn」の演奏が始まります。

2023 Easter Concert 09-04-2023. Apostolic Faith Church Ogun Region
2023年のコンサート。1時間19分23秒あたりから曲が始まります。

2024 EASTER CONCERT 31-03-2024. Apostolic Faith Church Ogun Central
2024年のコンサート。1時間12分57秒あたりから、曲が始まります。

その年によって、演奏者の衣装がシックだったり色とりどりだったりして、興味深いですね。会場では扇風機がまわっていて、3月や4月でも暑いのかなあ?などと想像が膨らみます。
原曲の楽譜や昔の音源はみつからなかったものの、こんなに遠くで演奏されていることに感激しました。
原曲探しに進展があったら、追加しますね!