「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」シリーズ、サイレント映画につける伴奏のための楽譜から一曲弾いてみたよ!
「現代映畫伴奏曲集 前編」(24)Death Scene デース シーン/mandolin
シリアスな顔で弾いてみました。
伴奏に顔はいらんって?まあ、雰囲気づくりに…。
使用した楽譜はこちら
映畫音樂研究會編 NO.3
「シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 樂譜 現代映畫伴奏曲集 前編」
昭和二年五月一日印刷
昭和二年五月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番
(24)Death Scene デース シーン
ニ短調で、ダブルバーからト短調に変わっています。
短い曲を、ダ・カーポしてまるごと繰り返します。
解説には
「死の場面と譯す如く現代劇、時代劇を通じて、人の死に直面したる場面、最も悲愴なる哀傷的氣分を表情するに伴奏す。」
とありました。
作曲は、やっぱりザメクニックさん
この曲集には作曲者が書いていなかったのですが、ちょっと調べると、すぐに出てきました。
John Stepan Zamecnikさんの作った「Sam Fox Moving Picture Music vol.1」(1913年)にありました!
目次のページ下部に「MCMXIII」と書いてあります。これはローマ数字で、1913年と読むんだって。
もともとは、(サイレント)映画の伴奏用に作られたピアノ曲なので、映画の場面に合わせて繰り返したり省略したりして演奏したのでしょうね。
それだけに、レコード等の録音物は見当たりませんでしたが、現代の人が掘り起こして演奏している動画はありました。
J.S. Zamecnik, "Death Scene" (from "Sam Fox Moving Picture Music, Vol. 1")
Michael Brownさんが、Spitfire Audioの『HANS ZIMMER PIANO』というピアノ音源を使って作ったそうです。
08 - Death Scene - Sam Fox Moving Picture Music
John Kuzelさんはこの曲集の第1巻を全曲音源化していました!
ほんの少しのナゾ
「現代映畫伴奏曲集」ではニ短調→ト短調に変わっているのですが、原曲のピアノ譜ではニ短調のままでした。そのため、わたしが弾いた楽譜ではE♭だった箇所が、上2つの音源を聞くとE音はナチュラルでした。むむっ、なぜ変わったんだろう?
まあ、単なる写し間違いと推測できるのですが…。
そもそも当時、外国の楽譜を借用というか写し取って日本で出版するって、Sam Fox社から許可を得ていたのでしょうかね?Sam Fox社の版権とかザメクニックさんの著作権とか、どうだったのでしょう。
さらに、この曲集が出版された1927年(昭和2年)にはアメリカで最初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」が、1931年(昭和6年)には日本で「マダムと女房」というトーキー映画が発表されたんですって。
日本初の映画興行が1897年(明治30年)、日本でサイレント映画は1935年(昭和10年)ごろまで作られていたそうだから、サイレント映画は40年ほどの寿命だったということですね。
それにしても、曲集が出てからたった数年でトーキーに移り変わっていったなんて!技術革新にやられた!!
そうすると、この曲集は実用だったのでしょうか、それともヴァイオリンやマンドリン愛好家のための楽譜だったのでしょうか?
ほかにも動画あります
YouTube「ikekomandolin」のチャンネルでは、「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」という再生リストも作っています。
古書店から購入した、古いマンドリン楽譜を弾いています。
どうぞごらんください♪
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