自分の使っているマンドリンは、1927年に作られた古い楽器。
それと同じ時代に日本でもマンドリン用の楽譜が売られていたと知って、ロマンを感じました。
それ以来、古書店の通販サイト「日本の古本屋」を通じて、全国あちこちの古書店からぼちぼち楽譜を購入しています。
さて、今回の「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」は、昔の映画、つまりサイレント映画につける伴奏のための楽譜から。
裏テーマは「サイレント映画の楽士になりたい!」
「現代映畫伴奏曲集 前編」より
(21) I’m A-Longin’Fo’You ロング イング フォアーユー/mandolin
使用した楽譜はこちら
当時の映画女優さんのような絵。すてきなカラー印刷の表紙です。
裏表紙にある奥付はこちら
昭和二年五月一日印刷
昭和二年五月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番
あれっ、前に弾いた「ハウザーの子守唄」が載っている「ヴァイオリン・マンドリン名曲集」が発行された大正14年に、この出版社は戸塚町にあったけど…
昭和2年時点では牛込区西五軒町だって。移転したのでしょうか。
曲集の目次では「ロング イング フオアーユー」とありますが、楽譜のタイトルでは「グ」がぬけていますね。チェックマークは、楽譜の所持者による書き込みでしょうか。
解説では「主として靜なるラブシーンに用ひ、畫面の轉廻により徐々に哀傷を深め行く場面、例へば戀人との惜別等のシーンに伴奏するに適す。」と書いてあります。
映画伴奏の曲は、当時はやったと思われる洋楽や、ザメクニックの映画伴奏曲集などから選曲されています。
作詞はKarl Fuhrmann、作曲はJane Hathaway。
1914年にSam Fox Pub.Co.(サムフォックス出版社)から、歌とピアノ伴奏(ヴァイオリンまたはチェロのオブリガードつき)の楽譜が出ています。
米国メイン大学の「DigitalCommons@UMaine」というサイトで、当時の楽譜を見ることができます→こちら
ゴンザガ大学の「Gonzaga University Digital Archives」でも見られます→こちら
Jane Hathawayは、なんとJohn Stepan Zamecnik (1872-1953)の別名(ペンネーム)だそうです!ええ~。
ザメクニックさんといえば、Sam Fox社から「Sam Fox MOVING PICTURE MUSIC」、つまりサイレント映画のピアノ伴奏曲集を4冊も出している人だもんね。
この曲もザメクニックさんだったのか~。
当時の音源もさがしてみたよ。
こちらは、1917年にSophie Braslauが歌ったレコードです↓
I'm a longin' fo' you - Sophie Braslau - 1917
こちらは、1922年にElizabeth Lennoxが歌ったレコードです。
I'm A Longin' Fo' You - Elizabeth Lennox
この曲は、運良く作曲者が判明し、元の楽譜や音源も見たり聴いたりできましたが、伴奏曲集の中には、元ネタがみつからないものもあります。まあ、少しずつ、ぼちぼち弾いていきたいと思います。
YouTube「ikekomandolin」のチャンネルでは、「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」という再生リストも作っています。よろしければ、ごらんください!
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