2025/08/15

この曲弾いたのわたしだけ!?…サイレント映画の伴奏曲「アンダンテドロロソオ」

大正~昭和初期のマンドリン楽譜の中に、サイレント映画のための伴奏曲集をみつけて大興奮!

いつかサイレント映画のマンドリン楽士になりたいと思いながら、ぼちぼち修行中です。

今回紹介するのは、

「現代映畫伴奏曲集 後編」(5)Andante Doloroso アンダンテドロロソオ/mandolin


楽士向け?愛好家向け?マンドリン楽譜

使った楽譜はこれ!1927年(昭和2年)発行の市販楽譜です。
こちらは古書店通販サイト「日本の古本屋」にはなく、メルカリで購入しました。
当時の映画は、サイレント(無声映画)だったので、説明も音楽もその場で行っていたんですって。
今考えると、かえってぜいたくにも思えるし、弁士と楽士によって映画の印象がまったく違ったものになりそうですね。
それにしても、この楽譜を使った楽士はいたのでしょうか、それともヴァイオリンやマンドリンが好きな人のための市販楽譜なのでしょうか?

《表紙》
シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 楽譜
SINFONIE VIOLIN OR MANDOLIN SOLOS
現代映畫伴奏曲集 後編
映畫音樂研究會編 NO.4


裏表紙《奥付》
昭和二年七月一日印刷
昭和二年七月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番



《楽譜》
(5)Andante Doloroso
  アンダンテドロロソオ
  (O. LANGEY)
  秋の落葉、物寂しき場面

「ドロローソ」でなく「ドロロソオ」という表記に、時代を感じますね。
音符の下に書いてある数字は、ハーモニカ用の楽譜です。

作曲はオットー・ランゲ

楽譜に作曲者名が書いてあったので、原曲探しは楽でした。

作曲者はオットー・ランゲ Otto Langey(1851~1922)
この方はもともとチェロ奏者ですが、クラリネットやトロンボーン、サキソフォン、フルートなど様々な楽器の教則本や練習曲を書いたそうです。

サイレント映画の伴奏曲

原曲の楽譜は、1920年にボストンのOliver Ditson Companyより、「Ditson's Music for the Photoplay No. 37として発行されています。
題名はAndante doloroso、副題にfor scenes expressing pathetic emotion。哀れな感情を表現するシーンに使うということでしょうか。

①ノーステキサス大学のサイト「UNT Digital Library」でパートごとの楽譜が見られます
ピアノパート   
こんなにあるんかい!?
そんなに大勢で映画の伴奏をしなくても、ピアノとあと何かのパートを組み合わせれば曲として成立しそうです。

おっと、ピアノの次のページに、オルガンパートもあるのね!

予想していましたが、わたしの弾いた楽譜は、原曲の3分の1程度の長さでした。

他の人の演奏がみつからない…

YouTubeで見かけるのは
・ランゲさんが書いた各種楽器の教則本や練習曲の演奏(けっこういろいろある)
・ランゲさんがオーケストラ用にアレンジした曲の演奏
・「Mexican Serenade(Mandolina)」の演奏
   ↑メキシコ…?マンドリン…?まあいいでしょう。
でも「Andante doloroso」については、現代の演奏もSPレコードも見つかりませんでした。
いや~、もちろん動画に上がらない演奏も世の中にはたくさんあると思いますが、みつかるものとみつからないものの差がはげしいな!ザメクニックさんは数多くあるのに…。
今後も探してみますね。


ほかにもいろいろ弾いたり、原曲を探したりしています。
このブログの「大正~昭和初期のマンドリン楽譜」の記事や
ikekomandolinのYouTube再生リスト「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」、
お時間ありましたらごらんください。

2025/08/04

いけこの曲紹介♪「8月の素肌」

 【過去記事】前のブログに掲載していた記事の、再掲です。

夏です。ほっかいどうも暑いです。
8月なので、わたしの作った8月の曲を紹介しましょう。

「8月の素肌」

2013年作曲

マンドリン1、マンドリン2、マンドラ、マンドセロの四重奏です。


【解説】

くっきりと

背中に残る日焼けの跡が

暗い 闇の中に

ほの白く浮かび上がる。

遊びすぎた

夏の終わりの

けだるさ。

*      *      *

※Fのマンドセロは、ボディをたたきます。

上向きの「×」と下向きの「×」が違う音になるように、

工夫してください。


マンドリン×2、マンドラ、マンドセロの(ギターのない)四重奏という編成で、1月から12月まで月めくりカレンダーのような曲を作ってみよう!と思い立ち、2011年から作り始めました。

このシリーズで、5番目にできた曲です。

わたしの中ではめずらしく、AOR風に作ってみたつもりですが…

そういえばAORってなんだ!?アダルト・オリエンテッド・ロック?

と、調べれば調べるほど、わからなくなっていきました(だって曲によっていろいろちがうもん)。

マンドセロのベースラインで、大人の雰囲気をあらわしてみました。

ところどころ、メロディをスイングさせたりね。


上の動画の演奏は、わたしたちSound-Hole(サウンド・ホール)です。

画像は、小さいころの息子たちが、北の海で遊んでいるところです。

長男がいちばんムッチムチだったときです。次男はポキポキポッキーだし…。

ぜんぜんオトナの雰囲気じゃないですね。


こちらは、マンドリーノ・ジラソーレさんによる、オトナの演奏です。

2017年7月30日、日本マンドリン連盟九州支部「第15回 アンサンブルフェスティバル」より。

このときの演奏を、じつは現地で聴いたのですよ~!うれしかったです。


お問い合わせ・楽譜ご要望の際は、当ブログまでご連絡ください。

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(ご記入いただいたアドレスは、管理人であるわたしのみ見ることができます)


いけこの作った曲、ほかにもいろいろあります!

マンドリン四重奏のためのカレンダーシリーズ、ほかにも11曲ありますよ。

【作曲】いけこのマンドリン曲リストを、ごらんください

わたしの場合、楽譜は販売していません。

気軽に取り寄せて、ご試奏いただければ幸いです。