あけましておめでとうございます!
2025年のはじまりに、演奏動画をどうぞ。
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「現代映畫伴奏曲集 前編」(17) A Japanese Sunset
ヂアパニース サンセツト/mandolin
使用した楽譜は、今回もこれ!
映畫音樂研究會編 NO.3
「シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 樂譜 現代映畫伴奏曲集 前編」
映畫音樂研究會編 NO.3
「シンフオニー ヴァイオリン マンドリン 樂譜 現代映畫伴奏曲集 前編」
《奥付》
昭和二年五月一日印刷
昭和二年五月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番
昭和二年五月三日發行
定價 金五拾錢
編者 映畫音樂研究會
印刷發行者 草野 茂
東京市牛込區西五軒町三十四番地
發行所 シンフオニー樂譜出版社
電話牛込六九〇九番
振替東京六九一二七番
1ページ「映畫伴奏振附解說」より
此曲は日本の日沒を表したる曲にして、現代劇、時代劇を通じて日沒の場面に用ふ、映畫によりては開幕又はラストシーン(終局)の場合に演奏するも可なり。
昭和2年(1927年)の発行物なので古い字体で書いてありますが、
「映畫」=映画、「日沒」=日没ね!
楽譜の題名は「ヂアパニース サンセツト」ですが、
目次では「ヂヤパニース サンセツト」、
解説では「ジヤパニース サンセツト」と、表記が揺れまくりです。
5月1日に印刷して2日後に発行する前に、校正をなんとかしてほしい…。
楽譜に書いてある小さい玉の音符は、主なメロディをイヤホンで聴きながら弾きました。
動画編集ソフトで切り貼りして、片隅にうまく重ねました。
作曲者はジェシー・L・デッペン
この楽譜には作曲者が書いてありませんでしたが、ちょっと検索するとピアノやオルガン、SPレコードの演奏を見つけることができたので、きっと原曲の楽譜もあるだろうなと思って、探してみました。作曲者は、アメリカで活躍した女性の作曲家、ジェシー・L・デッペン Jessie L. Deppen(1881-1956)。
楽譜はピアノ版とオーケストラ版
サム・フォックス出版会社 Sam Fox Pub. Coから、「Parlor Salon Sheet Music Collection」という楽譜のシリーズが多数発売されていて、この曲は1916年にピアノスコアとして発行されています。
アメリカ・メイン大学のサイト DigitalCommons@UMaineで、当時のピアノ・スコア(PDF)が公開されています。表紙は、夕日を背にしたあずま屋の絵。日本風…なのか?
楽譜には「Composer “Eleanor”(「エレノア」の作曲者)」と書いてあります。
国際日本文化研究センター(日文研)のサイトでは、日本について書かれた外国の文献を集めています。「1900s Music Scores」という19世紀の楽譜を集めたページで、上記のピアノ・スコアも見られます。
プッチーニの「蝶々夫人」ならわかるけれど、ゲイシャとかキモノとかジンリキシャとか、すごいタイトルの曲がせいぞろい!みんな日本がめずらしかったのね。
IMSLPでは、ザメクニックさんが編曲したオーケストラ楽譜(1916年、サム・フォックス社)が見られます。ピアノ、フルート、クラリネット、コルネット×2、トロンボーン、ティンパニとチャイニーズゴング(銅鑼)など(他にトライアングルとベル)、ヴァイオリン1、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのパート譜がありました。各パート譜を見ると、オーボエとホルン、バスーンのガイドが書いてありました。
「現代映畫伴奏曲集 前編」に掲載している楽譜は、補足的に書かれたフレーズが、このオーケストラ版と同じでした。
また、上記と同じアレンジと思われるザメクニックさん編曲のオケ用楽譜が、「Sam Fox Library Orchestra Folio」Volume2 (1916年、サム・フォックス社)の、4曲目に掲載されています。この曲集の表紙には、「A collection of select compositions for hotel, cafe, theatre, moving picture and concert orchestras」と書いてあります。ホテル、カフェ、劇場、映画、コンサートオーケストラ向けの曲を掲載した曲集ってことね。この曲集のお値段を見ると、ピアノまたはオルガンパートは1ドル、その他の各パートは50セントだって。
演奏いろいろ
ピアノ演奏
Jessie L. Deppen: A Japanese Sunset
昔の楽譜を掘り起こして数多く弾いている、Phillip Searさんのピアノ演奏。
サム・フォックス社のピアノ・スコアを弾いています。
レコード以前の音楽再生装置、ピアノロール!
Ampico Lexington - A Japanese Sunset - Delcamp
J.ミルトン・デルキャンプ J.Milton Delcamp (1892 - 1931)さんの重厚なピアノ演奏。レコードが普及する前は、ピアノロールが音楽再生装置だったそうです。
フォックストロットにアレンジしたピアノロール!
JAPANESE SUNSET foxtrot 1923 (Deppen arr. Zamecnik) played by M Purvey
ECHO DANCE ROLL D1455V
わたしにとってはおなじみのジョン・ステパン・ザメクニック J.S.Zamecnikさんが、この曲を、なんと当時流行のダンスミュージック、フォックストロットにしちゃいました!
1923年、M.Purveyさんのピアノ演奏を、ピアノロールにしたものです。
SPレコードみつけた!
"Japanese Sunset" and "Rosita" by Paul Ash and His Granada Orchestra, 1923
こちらもザメクニックさんアレンジのフォックストロット。
ポール・アッシュとグラナダ・オーケストラが演奏した、レコードです。
ラベルに「For Dancing(ダンス用)」って書いてある!
動画の後半はレコードの裏面で、「ロジータ」という曲です。
Japanese Sunset - Paul Ash & his Granada Orchestra Brunswick Records #2517 1923
上と同じレコードですね。A面だけ再生しています。
Savoy Havana Band - A Japanese Sunset (Columbia3296) (1923)
これも曲調がフォックス・トロットですね。サヴォイ・ハバナ・バンドの演奏、1923年。
レコードのラベルに「ロンドンのサヴォイ・ホテルにて」と書いてあります。
Jack Shilkret's Victor Salon Orchestra A Japanese Sunset 1924
(Victor 19481-A)
(Victor 19481-A)
ナサニエル・シルクレット Nathaniel Shilkretさん編曲の、ビクター・サロン・オーケストラによる演奏。1924年。
ザメクニックさんのオーケストラ楽譜に最も近い演奏ですが、15~18小節の4小節がカットされています。
A Japanese Sunset - Seiberling Singers - 1928
SEIBERLING SINGERSの演奏、1928年のレコードです。なんと男声四重唱!
ほかに、イギリスで活躍した劇場オルガン奏者、サンディ・マクファーソン
Sandy MacPherson(1897-1975)の演奏もあります→YouTube「A Japanese Sunset」
「Discogs」というサイトでは、彼女の作曲した曲のレコード等をまとめて紹介していました。「エレノア」は、「現代映畫伴奏曲集 前編」にも「エレアノル」という題で載っているので、こんどマンドリンで弾いたときに、音源を探しやすいかも!
日本の情景→アメリカ→日本へ
もともとは、アメリカの作曲家が日本の情景を描いた曲。
ピアノでもオーケストラでも演奏され人気が出たので、さらにゴキゲンなダンスミュージックにアレンジされちゃいました!
この曲が日本にも伝わり、その壮大な曲調から映画音楽の伴奏にも合うと考えたのでしょうね。ザメクニックさん編曲のオーケストラ版をもとにして、そのメロディを映画伴奏の曲集に掲載したんですね。
そんなストーリーが見えてきました。
YouTube「ikekomandolin」のチャンネルでは、「大正~昭和初期のマンドリン楽譜を弾いてみた」という再生リストがあります。
古書店などで100年近く前の市販楽譜を手に入れて、弾いています。
お時間ありましたら、ごらんくださいね!
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